レーザー屈折矯正手術は角膜の形を変えて治しますので、その角膜構造について説明いたします。角膜は凸レンズの形状をした直径2ミリ、厚さ550ミクロン、曲率半径8ミリの透明な膜です。
1ミクロンは1000分の1ミリです。角膜は前方から上皮層、ボーマン膜、実質層、デスメ膜、内皮層の5層から成り立ちます。
網膜は光学カメラのフイルム、デジタルカメラのCCDに相当します。網膜の黄斑部には視細胞が密集して光像を検知します。
視細胞で光は電気信号に変換され、視神経を経て後脳に伝えられます。視細胞は年齢が進むにつれて少しずつ減少していきます。
近視が進むと網膜が広がって薄くなり、視細胞密度が減少します。視細胞密度が低いと分解能が低下して視力も上がりません。
上皮層は50ミクロンの厚さで、7層の上皮細胞がバームクーヘンのような層構造をしています。上皮層は再生力が強いため、コンタクトレンズで傷がついても数日で治ります。
上皮層は角膜を外部の大気から保護します。表面には微細な凹凸がありますが、厚さ5ミクロンの涙膜がシャボン玉の膜のように潤しています。

涙膜は平均10秒くらいで割れます。そのときの刺激が涙腺に達して涙が供給されます。
涙には石鹸のような界面活性剤が含まれており、水性と油性の性質を兼ね備えているため、油性の角膜組織に馴染みます。長年コンタクトレンズを使用していると涙液が減少してドライアイになります。
涙液には細菌やウイルスに対する抗体が含まれており、点眼剤を常用すると抗体を流すので感染しやすくなります。ボーマン膜は再生力がない薄い層です。
その役割はまだよくわかっていませんが、平滑な薄い膜で上皮層と実質層を分けています。その下の実質層は角膜のほとんどの部分を占めています。
実質層は再生しない細胞からなるコラーゲン組織で、バームクーヘンのように層状を成しています。レーザーによる屈折矯正手術はこの実質層を削って角膜のカーブを変化させるものです。
実質層の下にあるデスメ膜は薄くても強靭な膜で、実質層とともに角膜の形を維持します。デスメ膜が脆弱であれば、内部からの眼圧に押されて角膜中央部は隆起することがあります。
こうしたデスメ膜が原因で円錐角膜という病気が起こることがあります。デスメ膜は欠損しても内皮細胞により再生されます。
1番下の内皮層は蜂の巣構造をした一層の細胞群から成り、実質層や上皮層に水分や栄養分を供給し、ナトリウムやカリウムなどの電解質を入れ替えるポンプの役目をしています。内皮細胞は再生能力がないため、損傷を受けると周辺の細胞が肥大化してその穴を埋めていきます。

内皮細胞が修復できなくなると、角膜の疾患が起こり、矯正視力は低下していきます。内皮細胞は非常に多くの酸素を必要とします。
そのため、酸素が供給されないと内皮細胞は徐々に死んでいきます。単位面積当たり3000個以上ありますが、コンタクトレンズを使用している方では減少が顕著です。
内皮細胞が減少すると、他の角膜層への水分や栄養分の供給が絶たれ、ドライアイが発生します。このとき、栄養分の補給も阻害されます。
そうした状態で角膜炎が起こると栄養分の供給は白目の結膜にある血管から行われます。その結果、眼が充血しやすくなります。
そのため内皮細胞が2000以下になった場合は直ちにコンタクトレンズの使用を中止しなければなりません。異常内皮はコンタクトレンズを長期使用された方に起こります。
角膜内皮は角膜下部の薄い一層の細胞からなり、水分、ナトリウム、カリウム、栄養分などを眼の裏側から角膜に供給するポンプの役割をした細胞です。コンタクトレンズを長期にわたって使用すると内皮細胞が死んで周囲の細胞がその孔を埋めるため、細胞が巨大化して細胞数が減少してしまいます。
内皮細胞が少なくなると角膜の炎症に対して養分の供給が減少し、角膜の血液から供給するため、眼は充血しやすく、コンタクトレンズの傷を修復できないので眼痛、異物感が恒常化します。水分の供給も不足するためドライアイが起こってきます。
コンタクトレンズを長期にわたって使用すると角膜が薄くなることもわかっています。平均すると10年間の使用で約50ミクロン薄くなります。
角膜が薄い場合は屈折矯正手術が出来ません。コンタクトレンズを使用されている方は、出来るだけ眼鏡を用いたほうがよいでしょう。屈折異常がない方が遠くを見たとき、光は角膜と水晶体で曲げられて網膜に結びます。

そのとき水晶体は最も薄い状態になっています。水晶体の外縁にはチン小帯という糸状組織があり、その周囲にある毛様体という筋組織に付着しています。
毛様体は緊張すると内側に収縮するため、チン小帯が緩みます。すると水晶体がそれ自身の弾力によって厚さを増します。
眼球に入ってくる光は、角膜、前房水、水晶体および硝子体で屈折し、網膜に結像する。ところで、凸レンズに遠方から平行な光が入ると、光はレンズの焦点に結びます。
レンズから焦点までを焦点距離といいます。近くからレンズに入った光は焦点よりも後方に結びます。
眼に入る光も同じです。遠くを見たときは、その光は角膜や水晶体のレンズで曲げられ、網膜にある焦点に結びます。
そのとき水晶体は最も薄い状態になっています。近くに眼を移した瞬間は、その光は網膜よりも後方に結ぶためピントが合いません。
そのため、瞬間的に毛様体が緊張して水晶体の厚さを増します。すると、水晶体の焦点距離が短くなってピントが網膜に結ぶようになります。
水晶体はそれ自身の屈折力は角膜の3分の1しかありませんが、ピントを合わせる調節レンズとしての重要な役割を担っています。屈折異常の程度や水晶体の調節力を知るために屈折度数について説明します。

屈折度数とはレンズが光を曲げる力を表します。度数はレンズの焦点距離をメートルで表したときの逆数です。
例えば、太陽の光を20センチ、すなわち0.2メートルに集めることのできる凸レンズの度数は5になります。度数にはデイオプターという略語のDをつけます。
レンズにも度数がありますが、焦点はレンズの前方にあるため、凸レンズのプラスと区別して焦点距離にマイナスの記号をつけます。さて、遠方を見てから、瞬間的に50センチにある物に眼を向けると、水晶体が変化しなければ光は網膜の後方0.7ミリに結びます。
網膜にピントを合わせるには水晶体を厚くして、後方のピントを手前に引き寄せなければなりません。それをするには水晶体を2D分だけ厚くする必要があります。
20センチを見るときは5D厚くなります。水晶体の調節力を決めるのは水晶体自身の弾力性と毛様体の筋力です。
筋肉を動かす神経には腕の筋肉のように自らの意志で動かすことの出来る運動神経と、心臓のように無意識に動く自律神経があり、毛様体は自律神経によって動かされています。自律神経は興奮するときに作用する交感神経と、安静にするときに作用する副交感神経に分かれます。

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